看護師として働く上で、体力的な面も重要な資質になります。どれほど患者様にとって素晴らしい看護師でも、体がついてこなければ話になりません。つまり、どんなに立派な看護師でも、看護師として働けなければ、看護師としての価値はないということになります。体力的に自信がある人は看護師に向いていると言えますが、その体力にも肉体的な面と精神的な面のふたつがあります。
まずは肉体的な面で体力を相当に必要とします。容易に想像がつくでしょうが、看護師の仕事には夜勤がつきものです。人間の体は夜眠って、朝起きるようにできています。それは本能的な部分でそのように作られています。ですから、夜勤という仕事形態は本来の人間の生きるリズムとは異なったところで働かなくてはならない仕事形態なのです。頭では辛いと分かっていても、実際に働き始めると想像以上の辛さがあります。多くの看護師が夜勤の辛さに体が耐えられず辞めていっています。どんなに素晴らしい看護師でも辞めてしまったら患者様にとっては良い看護師とはいえません。
次に精神的な面での体力もかなり必要です。むしろ、体力的な面よりも精神的な面のほうが重要だと言ってもいいかもしれません。体力的な面は慣れてくればさほど苦痛ではなくなってくることが多くあります。しかし、精神的な面はなかなか慣れるということが難しいのです。
人の死に接したときにどのように振舞いますか。親身になって看護すればするほど、その患者様の死というのは、身内の死と同じくらいの辛さがあります。それを何度も繰り返していかなくてはならないのです。それに耐えられるだけの精神的な体力があるでしょうか。人の死が辛くて看護師の仕事を辞めてしまうという人も少なからずいます。それほど、心の面での体力というのが重要になってくるのです。
また、精神的な体力が要求される場面は患者様の死のときだけではありません。ときにはご家族からのクレームもあるでしょう。そのときに心無い言葉を浴びせられるかもしれません。また、患者様自身からの暴言もあるかもしれません。そんなときに心を強く持つことができなければ看護師の仕事を続けていくことはできません。
最後に、先輩看護師からのきつい叱責にも耐えられる心を持っておかなくてはなりません。看護師が働く現場は、ひとつ間違えれば命に直結する問題になりかねません。その分、看護師たちは働くときはピリピリしています。小さな失敗でも声を荒げて叱責されることもあるかもしれません。そういう場合でも、そのミスを次につなげていこうと前向きに考えられるような心の強さが必要なのです。